「セルゲイ・シェプキン ゴルトベルク変奏曲」@すみだトリフォニーホール
「シェプキン・アンコール
 セルゲイ・シェプキン ゴルトベルク変奏曲」
すみだトリフォニーホールにて 6月24日(火)19:00開演


J.S.バッハ
「イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971」(1734年)
「パルティータ第2番 ハ短調 BWV826」(1727年)
「ゴルトベルク変奏曲 BWV988」(1741-2年)

ロシア系アメリカ人、セルゲイ・シェプキン。
昨年の同会場でのコンサートの大成功を踏まえてのアンコール来日。
1985年にサンクトペテルブルグ音楽院を主席で卒業、
1993年のニューヨークはカーネギーホールでのデビュー以来、高い評価を得続けている。
数々のコンクールで受賞、中でもバッハの卓越した解釈、演奏に定評があり、
グレン・グールドに比される程である。


スタートのイタリア協奏曲の華やかで楽しげなこと。
特に第3楽章。聴衆をしっかりと掴んで引き込む。
パルティータ、悲壮な雰囲気で始まり、じんわりと染みてきて、ラストは堂々と。

インターミッションの後、長い、長いゴルトベルクが始まる。
30もの変奏がひたすらに積まれていく。
ゴルトベルクだと、私の頭の中にはひとまずグールドの演奏がある。
そればっかり聴いてきたので。
背後にグールドが居て、シェプキンを聴いている。変な感じだ。
しかし、やがてそれも気にならなくなる。
非常に初歩的な感想だが、違う演奏家の演奏を聴く面白さを実感した。
グールドのストイックさとはまた違った、華やかな音。ロマンチック。
ペダルを踏み込んで響かせる和音、装飾的なトリル。
丹念にたたみ掛け、音が詰め込まれていく、そして満ちる。

もともと2つの鍵盤を持つチェンバロのための曲なので、
両手を交差させたり、手は忙しなく、かなりの技量を必要とするが
ドラマティックに奏でながらも、破綻なく、シェプキンの上体は殆ど動かない。
職人的な高潔さを感じさせる佇まい。
小さなホールで、彼の手の動きだけがひらひらしている。

途中、少し危うく感じられるところもあった。
凄い緊張感。奏者はもちろんだろうが聴衆も物凄い集中と緊張を強いられる。
時間は一時間以上。最後、主題が繰り返され、曲頭へ回帰。
懐かしいアリアが奏でられる。
惜しむように、ああ、終わる。と思うと同時に、やっと終わった、と思う。

アンコールなどあり得ない。この後に何を弾いても蛇足だろう。
もう胸がいっぱいで入らない。
案の定、シェプキンは割れるような拍手に何度も出ては来たが、
再びピアノの前に座ることはなかった。

schepkin
その後、ロビーに出てきてサインに応じていた。
2008-06-25 08:21 | 音楽 | Comment(0) | Trackback(0)
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