■「ぐるりのこと。」
「「ぐるりのこと。」
監督: 橋口亮輔
上映時間: 140分
製作年度: 2008年
出演:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子
『ハッシュ!』の橋口亮輔監督による人間ドラマ。
1990年代から今世紀初頭に起きたさまざまな社会的事件を背景に、
困難に直面しながらも一緒に乗り越えてゆく夫婦の10年に渡る軌跡を描く。
じんわり、しみじみと良い映画だった。
もう強い情熱や欲望は無い段階の夫婦。
ちょっとやそっとでは誤魔化せなくて、そこに開き直っているようなところもあるけれど、
それは愛が無くなったのではなく、愛の形が変わっただけで、
必要な時には、当たり前のように向き合って手を差し伸べあう。
すぐにはうまくいかなくても、いつかうまくいく日まで…
そういう「当たり前」を静かに見せる映画だった。
夫婦の物語に異常犯罪の裁判が伴走するが、これは時代をリアルに描き出したり
夫婦の共有した時間を計るといった効果のためだけではない。
幼女連続誘拐殺人、小学校での児童殺傷、オウム…
これらの犯罪者のコミュニケーション能力の無さや思考停止ぶりに照らして
人が人と関わりながら生きていく上で大切なものが見えてくる。
夫婦の物語ではあるが、親子関係(ヒロインと母親・父親)や、
ひとりの人間としての生き方(充実した絵画制作を始めるヒロイン)まで
カバーして、自分の周りの人ぜんたいを、もう一度きちんと抱き締めたいような気持ちにさせる。
つつましい生活でも、相手の寝顔を見つめたり、お風呂に一緒に入ったり、一緒に植物を育てたり、
そういう些細な日常が続けていくこと、途切れても修復することが、何にも代え難い幸せなのだと、
しみじみと分かる。
今、読んでいるフォースターの『眺めのいい部屋』。
その一節が共鳴する。
「『人生とは、聴衆の前でヴァイオリンを弾くようなものだ。そして君は弾きながらヴァイオリンのことを学ばなくてはならない。』…人は生活をしながら、自分の持っている力の使い方を見つけなければならない、とくに愛の使い方を。」
(E.M.フォースター『眺めのいい部屋』第十九章より)
監督: 橋口亮輔
上映時間: 140分
製作年度: 2008年
出演:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子
『ハッシュ!』の橋口亮輔監督による人間ドラマ。
1990年代から今世紀初頭に起きたさまざまな社会的事件を背景に、
困難に直面しながらも一緒に乗り越えてゆく夫婦の10年に渡る軌跡を描く。
じんわり、しみじみと良い映画だった。
もう強い情熱や欲望は無い段階の夫婦。
ちょっとやそっとでは誤魔化せなくて、そこに開き直っているようなところもあるけれど、
それは愛が無くなったのではなく、愛の形が変わっただけで、
必要な時には、当たり前のように向き合って手を差し伸べあう。
すぐにはうまくいかなくても、いつかうまくいく日まで…
そういう「当たり前」を静かに見せる映画だった。
夫婦の物語に異常犯罪の裁判が伴走するが、これは時代をリアルに描き出したり
夫婦の共有した時間を計るといった効果のためだけではない。
幼女連続誘拐殺人、小学校での児童殺傷、オウム…
これらの犯罪者のコミュニケーション能力の無さや思考停止ぶりに照らして
人が人と関わりながら生きていく上で大切なものが見えてくる。
夫婦の物語ではあるが、親子関係(ヒロインと母親・父親)や、
ひとりの人間としての生き方(充実した絵画制作を始めるヒロイン)まで
カバーして、自分の周りの人ぜんたいを、もう一度きちんと抱き締めたいような気持ちにさせる。
つつましい生活でも、相手の寝顔を見つめたり、お風呂に一緒に入ったり、一緒に植物を育てたり、
そういう些細な日常が続けていくこと、途切れても修復することが、何にも代え難い幸せなのだと、
しみじみと分かる。
今、読んでいるフォースターの『眺めのいい部屋』。
その一節が共鳴する。
「『人生とは、聴衆の前でヴァイオリンを弾くようなものだ。そして君は弾きながらヴァイオリンのことを学ばなくてはならない。』…人は生活をしながら、自分の持っている力の使い方を見つけなければならない、とくに愛の使い方を。」
(E.M.フォースター『眺めのいい部屋』第十九章より)



